2012年7月19日木曜日

農業で年収一千万円稼ぐには


ダイヤモンド社発行の「週二日働いて 農業で1000万円稼ぐ法」という本の影響で、年収1000万円を売り文句にする就農ガイドがいくつか出版されています。

アマゾンの書評を見ていると、どうしたら1000万円の利益が取れるのか不明確だと不満を漏らす方が何人かおられます。そういう人は、拙著「農業で儲けたいならこうしなさい」を読むのが一番適切なのですが「年収1000万円」とうたわないとわかってもらえないかも知れません。



それはともかく、農業年収1000万円本大好きな人が案外ご存じないことがあります。

年1000万の所得をあげる農家は、実はそんなに珍しいわけではありません。

じいちゃん+ばあちゃん+父親+母親と四人の労働力がある農家の場合、一人平均年収250万円とれる仕事をすれば、トータルで1000万円に届きます。実際は専業農家であっても子育てに忙しい母親は手伝い程度しかできないとか、ばーちゃんが体を悪くしたとか、いろいろ各農家の事情があるので、実際は労働力3人でトータル1000万円が現実的な数字となることが多いでしょう。

ただし、農業をやりたいと思う人が考える年収一千万とは、一人、ないしは奥さんと二人で1000万円の所得をあげることを想定していると思います。

奥さんは家事育児があるので農業に全力を振り向けることができないことが多いと考えると、男一人で800万+奥さんの手伝いで200万で1000万、あるいは一人で1000万円とれる農業はどんな農業なのか知りたいということになるのでしょう。

このテーマ、私は書くことはできます。こんな農業をしたら一人で1000万円稼げると、実例を交えつつ作物別のパターンを提示することはできます。でも「誰でも年収1000万円」とは書けませんね。1000万円とろうとしたら、やはりそれなりの優位性がないと難しいですね。


本にできるほどの分量はないので、電子出版してみようかなと思ったりします。しかし世間にあふれる「電子出版=紙の本より安い」というイメージの通りに値付けをし、ボリュームを考えると180円くらいしか値段がつけられない。たぶん現状一番高い印税率7割をとるとすると儲けは126円。1500円の本の印税1割の150円にも届かない。


電子出版は紙の本よりも制作コストが低いですが、急速に拡大しそうなものの現状では市場がべらぼうに小さいため、紙の本を出すより儲からないのが実態です。iPadなどのタブレットやスマートフォンは大ヒットしていますが、そうしたプラットフォーム上で本を読む人はまだまだ少ないからです。

要は、電子出版だと儲かると思える値付けをして、買ってくださる方がいらっしゃるかどうかが問題なわけです。

そんなわけで、「1000円出しても読みたいぞ」と言う方がいらっしゃったらコメントをください。ある程度需要が見込めるなら、本当に作ります。

2012年7月1日日曜日

新規就農に一番必要な「調べる力」


さる筋から、新規就農を目指してある農家で研修している若者が、このままでは就農できそうにないということで、どうすればいいのか相談を受けた。この若者とは面識があるが、就農は無理だろうと思っていた。不幸にもその通りになったわけだ。

この若者に、就農は無理だろうと考えた理由は簡単で、情報収集力がなかった。大都市に住んでいるから、大きな本屋に行けば農業関係の本はたくさん見つかる。ネットも不自由なく使える。本気で情報収集をしていたら、私の名前を聞いたところでピンとくるはずだ。

いや、私の名前が出てこなくてもいい。他の就農ガイドを書いている人を知っていてもいい。ところが就農ガイドの本一つ読んだことがない様子だった。もちろん、拙著「農業に転職する」を読まないかとすすめたけど、読んでないだろうな。

農業を知らない人に、またまた知り合いの農家を紹介され、弟子入りした。弟子入りした農家は特殊な分野では優秀だが、人を育てたり就農の支援ができるようなタイプの農家ではない。私の本を読んでいたら、こんな安易な方法で研修先を選んだりはしない。特異な農家での研修するのではなく、自分のやりたい農業を見定め、必要な技術を習得できる農家や就農支援機関を調べて見つけようとしないからこうなる。

結局、この若者は就農をあきらめ、会社勤めに戻ったという。当然だと思う。

経営コンサルタント会社にいた時、私は多くの業種のことを調べたが、業種によっては資料がそろわず、結局その業界にいる人に話を聞くしかないことも多かった。しかし業界の中にいる人でも、業界全体を把握し、業界外の人に解説することができる人はほとんどいなかった。

農業は、業種を理解するのに容易な資料はあふれている。よほどマイナーな作物や販売法でなければ、たいてい栽培法から市場規模から収益性、農家の生活など手に取るようにわかる。こんなに資料がそろいやすい業種はないと思うほどだ。当然、自分のやりたい農業が定まれば、どこの誰が自分にとってよい研修先になり得るかも、すぐわかる。

それほど資料に恵まれているのに資料一つ調べないで、安易に「農家に弟子入りしたら」「支援機関で相談に行ったら」なんて思う人は、就農などあきらめた方がいい。

ただ、思う。簡単に調べられることを調べない者に未来はないが、そんな人はたくさんいるのだ。そうじゃなくて、彼らは「調べ方」を知らないのかもしれない。新規就農に限らず、どんな分野の仕事を志すのであれ、自分が知らないことを調べる技術は必要だと思う。

試しに「調べる技術」で検索したら、多くの本がヒットした。新規就農が困難なのは、志望者の「調べる力」の不足が一番の原因のような気がする。